パーソナルジム開業を目指す人にとって、今は大きなチャンスの時代。健康志向や美容意識の高まりとともに市場は拡大を続け、無資格でも開業できる手軽さから、個人での独立も目指しやすい業界です。
しかし一方でパーソナルジムは、「開業後1年以内の廃業率は約80%」とも言われており、軌道に乗せるまでの難しさもあるのが現実です。
そこで本記事では、これからパーソナルジムを開業したいと考えている初心者トレーナーや治療家、独立志向の方に向けて、競合と差別化するための「資格取得」にフォーカスを当てて解説します。
目的別・ジャンル別におすすめの資格と取得ルートを紹介するとともに、実践的な学びが得られるトレーナースクールや、開業サポートが受けられるサービスについても取り上げます。

【監修者】向井崇敏/理学療法士
ASAP株式会社代表取締役。医療介護現場での経験を経て、2020年に「骨格から美ボディづくり」をコンセプトとしたB.E.Tパーソナルジムを設立。現在はスクール&コンサル事業「THE STORY」を運営。
パーソナルジム開業に「資格」が求められる理由
「信頼」を獲得して顧客を安心させるため
パーソナルジムは法律上、特定の資格がなくても開業できます。しかし、無資格でスタートした場合、多くの人が壁にぶつかるのが「信頼性の欠如による集客の難しさ」です。
誰でも開業できる仕事だからこそ、専門家としての証である「資格」を取得して、プラスの印象を与えることで、SNS・Google検索・口コミでお客様に選んでいただくための一つの判断材料となります。
「専門性」を明確にして差別化するため
パーソナルジムは全国的に増えており、特に都市部では競合が非常に多い市場です。
そんな中で選ばれるためには、「どんな専門性があるのか」を明確に伝える必要があります。
資格は代表的な差別化ポイントのひとつであり、肩書きとしての信頼・安心感だけでなく、自分に合ったサービスを受けられるかどうかといった判断材料になります。
パーソナルトレーナーにおすすめの代表資格
01. NSCA-CPT(難易度:★★)
NSCA-CPT(認定パーソナルトレーナー)は、米国発の国際的に認知されたトレーナー資格で、科学的根拠に基づいた安全かつ効果的な指導が学べます。解剖学・運動生理学・プログラム設計などの専門知識を体系的に学べるため、未経験からでもプロの指導者として自信を持って活動できるのが魅力。医療従事者やアスリート指導にも対応できるハイレベルな資格で、信頼性の高いトレーナーを目指したい方におすすめです。
02. NESTA-PFT(難易度:★★)
NESTA-PFTは、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会が認定するパーソナルトレーナー資格で、実践的な指導力とビジネススキルの両方を学べるのが特徴です。体力や目的に応じた個別プログラムの作成から、集客・ブランディング・顧客対応まで網羅的に学べるため、これから独立や副業で活動したい方に最適。オンライン学習にも対応しており、忙しい社会人や治療家のキャリアチェンジにも向いています。
03. JATI-ATI(難易度:★★)
JATI-ATIは、日本トレーニング指導者協会(JATI)が認定する国内発のトレーナー資格で、運動指導の基礎から応用までを体系的に学べます。日本人の身体特性や生活環境を考慮したカリキュラムで、科学的根拠に基づいたトレーニング理論と実技を重視しているのが特徴です。特に、フィットネス業界だけでなく医療や福祉分野とも親和性が高く、治療家やアスリート指導者にも選ばれています。信頼性重視の方におすすめです。
女性向けトレーナーにおすすめの資格
ピラティス資格(BASI/PHI/STOTT/FTP etc.)
ピラティス資格は、姿勢改善・体幹強化・ボディラインづくりを目的としたトレーニング指導を行うための専門資格です。中でも有名なのは、BASI、STOTT、FTP、PHIピラティスなどがあり、それぞれに独自の指導メソッドと特徴があります。解剖学や機能的動作への理解も求められるため、リハビリや美容、産後ケア、アスリートサポートにも応用が可能。特に女性向けのパーソナルメニューや、整骨院・サロンとの併設型ジムを目指す方におすすめの資格です。
ヨガ資格(RYT200 etc.)
ヨガ資格の中で特に国際的な認知度が高いのが、RYT200(全米ヨガアライアンス認定200時間コース)です。ポーズの指導だけでなく、呼吸法・瞑想・解剖学・哲学などを体系的に学べるため、初心者からでもインストラクターとしての基礎をしっかり習得できます。スタジオ就職やオンラインレッスン、副業など幅広い活動に対応でき、女性向けパーソナルジムや美容サロン併設型にも相性抜群。心身のバランスを重視したアプローチがしたい方におすすめです。
中高年・高齢者向けトレーナーにおすすめの資格
健康運動指導士(難易度:★★★)
健康運動指導士は、公益財団法人健康・体力づくり事業財団が認定する資格で、医師の指示のもと、安全で効果的な運動プログラムを作成・指導する専門家です。対象は高齢者・生活習慣病予備群・運動初心者などが中心で、フィットネスだけでなく介護予防や地域保健活動にも対応できます。医療や福祉の知識と連携力が求められ、病院・介護施設・自治体事業など幅広いフィールドで活躍可能。国家資格ではないものの、社会的信頼性が高く、治療家のキャリア拡張にもおすすめです。
健康運動実践指導者(難易度:★★)
健康運動実践指導者は、公益財団法人健康・体力づくり事業財団が認定する資格で、健康づくりや生活習慣病予防を目的とした運動指導の実践現場を担う専門職です。主にフィットネスクラブや地域の運動教室、介護予防事業などで、利用者に合わせた運動プログラムの実施・補助を行います。資格取得には講習会の受講と試験合格が必要で、運動生理学や解剖学の基礎を学べるため、初心者のステップアップにも最適。将来的に「健康運動指導士」を目指す方の登竜門的資格としても位置づけられています。
競技者向けトレーナーにおすすめの資格
JSPO-AT(難易度:★★★)
JSPO-ATは、日本スポーツ協会が認定する公認アスレティックトレーナー資格で、スポーツ現場におけるケガの予防・応急処置・リハビリ・パフォーマンス向上支援など、包括的なサポートができる高度専門資格です。取得には専門学校や大学でのカリキュラム修了と認定試験合格が必要なためハードルは高めですが、プロ・学生アスリートのサポートや医療現場との連携にも強いのが特徴。
JATAC-ACT(難易度:★★★★)
JATAC-ATCは、日本アスレティックトレーナーズ協会(JATAC)が認定するトレーナー資格で、スポーツ現場におけるケガの予防・応急処置・リハビリ支援を中心に活動する専門職です。柔道整復師・鍼灸師・理学療法士などの国家資格保持者が対象となるため、医療と運動を融合させた高度なサポートが可能。アスリートや部活動への帯同、リハビリジムでの活躍を視野に入れた治療家のキャリアアップとして選ばれています。信頼性の高いトレーナーとして活動したい方におすすめです。
NSCA-CSCS(難易度:★★★)
NSCA-CSCSは、NSCAが認定する上級資格で、主にアスリートのパフォーマンス向上を目的としたトレーニング設計・指導に特化しています。解剖学・バイオメカニクス・プログラムデザインなど高度な知識が求められ、取得には運動科学系の学位(または在学証明)が必要です。部活動指導者・アスリート担当トレーナー・大学やプロの現場を目指す方に最適で、専門性と信頼性の高いトレーナーを目指したい方に強くおすすめされる資格です。